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「今日もだよ~。」
「も~ッ!なんとかして!!この臭い!」
6月の末から7月頃にかけて、千葉や船橋、浦安など千葉県の東京湾沿いの街に漂う、なんとも言えないあのニオイ…。
この季節になると、
「ガスのような臭いがするけどガス漏れでは?」
「外が腐ったような臭いがするけど何?」
「この生臭いニオイの汚染の原因を調べて!」
などの苦情や問い合わせが、一日に数十件単位で市役所に入ってくるとか!?
東京湾に沿って海沿いを走るJR京葉線では、海浜幕張駅に電車が着いてドアが開いたとたん臭いが入ってきて、車内にこもったままドアが閉まって乗客は臭いに耐えながら乗っている…。
とか、
千葉市内では海から2~3キロ離れたあたりでも、生臭いニオイがしていて、夕方になっても収まらない…なんてことも。
なかには「大規模地震の前ぶれでは!?」なんて言い出す人まで…。
今回はなんとも不快なこの臭いは何なのか?臭いのの原因や対策、防ぐ方法はあるのか?などについて調べてみました。
臭いの原因は赤潮だった!
梅雨のころから夏場にかけて、東京湾沿いの千葉県の臨海部で多くの人が悩まされる、なんともいえないアノ臭い!
実はあの臭い、東京湾に発生する「赤潮」が原因だったのです!
東京湾は地図で見るとおり湾の口が狭いので、大平洋の外海からの海水の出入りが少ないのです。
©google map
この東京湾には、窒素やリンなどを含む家庭からの生活排水や工場排水が流れ込んでいるので、海水の中の栄養分が多くなる「富栄養化」が起きます。
そして栄養分が多い海水では、植物性のプランクトンが異常に発生しやすくなります。
とくに6月~8月頃は、気温、水温が高くなってプランクトンが大増殖してしまい、赤潮が発生するのです。
臨海部を中心に街のあちこちに漂うアノ臭いは、この海水の中に大量に発生している「プランクトン」が元になっていたのです。
「スケレトネマ」「ギムノディニウム」「リゾソレニア」「ノクチルカ」…など、まったく馴染みのない名前ですが、大量発生すると赤潮の原因になる植物性のプランクトンです。
いつまで続くの?
あの何ともいえないイヤな臭い、一日も早く消えてくれればいいのですが…いつまで続くのでしょう?
答えは「赤潮」次第です…。
海岸沿いに発生している「赤潮」が無くなってくれれば、あのニオイも収まってくれます。
ところが「こうなったら赤潮が消える」という一定のきまりがあるわけではないので、気温や海水温、潮の流れ、風向き、天気などの条件による、ということになります。
赤潮が発生するときは、気温が高く海水温も上がっているときで、晴れや曇りの天気で、あまり風も強く吹かず、海も凪いで(ないで)いるような状態のときが多いのではないでしょうか。
ですので、雨の日や風の強い日が続いたり、低気圧や台風などが接近して、潮の流れが変わることで、海岸沿いと沖の方の海水が混ざり合ったり、海面に近いところと底の方の海水が混ざり合うと、あのニオイも消えるということになります。
「あのニオイはいつまで続くの?」
なんとも頼りない答えですが「天候や潮の流れの変わり目まで」ということになります。
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何か対策はとられているの?
千葉市にあるポートタワーという展望タワー周辺ではウィンドサーフィンが出来たり、稲毛海浜公園というところには人工海浜の海水浴場やヨットハーバー、プールなどがあり、夏は手軽にマリンスポーツを楽しめるスポットになっています。
船橋市には漁業協同組合もあり、船橋の海では海苔やあさり、ホンビノス貝、スズキなどの漁が行われています。
赤潮が発生してしまうと臭いだけでなく、海中の酸素が不足して魚が死んでしまい、死骸が波打ち際に打ち寄せられたりして、観光や漁業にもダメージも出てしまいます。
環境省や千葉県、千葉市などでも、この臭いの元になっている赤潮の発生を減らすための対策をとっています。
赤潮の発生の原因になっている海水の「富栄養化」を防ぐために、下水道の整備をしたり工場排水の汚れの規制を強めたりしているのです。
以前に比べると東京湾の赤潮の発生も減ってきているようですが、すっかり無くなるという状況ではなく、最近ここ数年も夏場になると、やはり臭いはしてしまっています。
テレビ東京の人気番組「池の水ぜんぶ抜く」でやっているように、赤潮の発生している東京湾の海水をポンプで全部くみ上げて、外海の海水と入れ替えられたら、あの臭いの問題も解決するかもしれませんが、無理ですね(笑)
じゃあ!
赤潮が発生しているところに薬剤かなんか撒いてしまえばいいんじゃないの?なんていう声も聞こえてきそうですが…
赤潮のプランクトンだけに効く薬剤というものは無いので、薬剤を撒くことで魚などの生物も死んでしまうことになり、対策としては無理があります。
臭いの原因は赤潮ですが、ニオッているのは街中に漂う空気…です。
ヘリコプターに除菌消臭スプレーを満載して、空中からシュッ!としたら…臭いが消える?かもしれませんが、それも無理!
赤潮を発生させるプランクトンを死滅させるウィルスを使って、赤潮が消えるようにするという方法が研究されていて、効果も確認されているようですが、実用化できるかどうかも含めて、まだすぐに使えるという段階ではないようです。
また「富栄養化」だけが赤潮の原因ではなく、地球温暖化によって海水温が上がってきていたり、気温が高くなっていることも、夏場の赤潮の発生に影響しているという指摘もあります。
そうなると地球の温暖化を防ぐことが赤潮を発生させないための対策ということになり、地球全体で取り組む、非常に時間のかかる話になってしまいます。
残念ながら、今の段階では「これをやれば赤潮の発生がすぐに減って臭いに効き目がある!」という決め手になるような対策はないということになります。
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家で臭いを防ぐには?
海岸で発生している赤潮をすぐに消してしまうような方法がないので、外の生臭さを無くすことはできません。
梅雨の季節のジメッとした空気や夏の熱気に乗って臭ってくる「あのニオイ」は自分で何とかするしかないのが現状です。
対策としては…
- 赤潮の季節は窓を閉め切って温度調整はエアコンで対応
- 臭いのキツい日や海岸に面したエリアでは洗濯物を外干しにしない
- 空気清浄機をつけっ放しにしておく
などで、赤潮のニオイの被害を防ぐしかありません。
ただ、日によっては風向きの関係からなのか、一時的に臭いが少し収まることもあります。いつもよりも天気や風向きなどに注意しておくようにすると、部屋の空気の入れ替えや洗濯物の外干しの機会に恵まれるかもしれません。
嫌な臭いの元になっている「赤潮」は海の富栄養化が原因なので、即効性のある対策はありませんが、エコな生活を心がけることが長い目でみれば、あの「臭い」が無くなっていくことにつながります。
私も今まではあまり考えずに家で水を使っていましたが、これからは洗剤の使用量を減らしたり、風呂の水の再利用をするなど、なるべく家庭からの生活排水の汚れと水の量を少なくしようと工夫を始めてみました。かなり先のことかもしれませんが、いつか東京湾の海水の富栄養化が解決して赤潮が発生しなくなることを願うばかりです。
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