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「医療費控除を受けるのに、生命保険から給付金をもらっている場合はどうなるの?」
「払った医療費から、引ききれなかったら?」
原付バイクの転倒事故や病気入院で医療費がかかり、確定申告で医療費控除を受けたいから…と、休みの日に姉の家に呼ばれました。
どうやら領収書などを準備して書類の作成をはじめようとしたのですが、わかりにくいことがあるようで、教えてほしいというのです。
私が、昔、保険会社に勤めていたことがあり、多少保険金について知識があるのと、以前に医療費控除を自分で申告したのを知っていて、申告や保険のことを聞いてきたのです。
実は、私も自分の医療費控除を申告した時、同じように保険会社から受けとった保険金がありました。
やはり、姉と同じような点がわかりにくくて申告の際にいろいろと教えてもらって、書類を提出した覚えがあるので、さっそく手伝うことにしました。
保険金等を受け取った場合
「医療費控除」は、一年間に支払った医療費を所得から差し引きできる、所得控除の一つです。
医療費控除の計算 |
---|
実際に支払った医療費- 保険金などの補てん分-10万円※ |
※所得が200万円未満の場合は 所得の5% |
年間に支払った自分や家族の医療費で、10万円を超えた分は確定申告することで、その分税金が安くなります。
ただし、もしも医療費を支払う原因になった病気やケガ、出産などに対して、保険金や給付金などを受け取っている場合は、その金額を引かなければいけません。
例えば…
入院と手術、通院などの医療費 20万円
保険会社からの給付金 5万円
このような場合は、医療費20万円-給付金5万円-10万円=5万円で、
医療費控除で申告する金額は「5万円」ということになります。
差引きしきれなかった保険金は?
医療費控除で、医療費から差し引く保険金は、その保険金などをもらうことになった対象の医療費からのみ差し引きをします。
姉の場合を例にとると…
医療費 | 保険金 |
---|---|
バイクの
胃のポリープ
子供の医療費 | 事故による |
保険金「30万円」は、バイクの事故の入院と通院に対して支払われたものなので、事故の関係の医療費からのみ差し引きをします。
「事故の医療費20万円-保険金30万円」で「10万円」が引ききれませんが、「胃の手術や入院」「子供の医療費」から差し引きすることはありません。
姉の場合、事故についての医療費は保険金を差し引いてゼロになりますので…
「胃の手術等10万円+子供の医療費5万円」
から
医療費控除を計算するときの「10万円」
を引いた残りの「5万円」が控除の金額になります。
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通院の保険金は入院の費用からも差し引く?
医療費控除の計算で、受け取った保険金や給付金がある場合、その対象になった医療費からのみ差し引きをします。
では、もしも対象になる病気やケガが同じで、受け取った保険金が通院した日数に対して支払われた場合にはどうなるのでしょうか?
例えば、自転車で転倒して骨折と打撲があり、入院して退院後に通院をして、加入していた共済から通院した日数分の保険金が支払われたようなケースです。
医療費 | 保険金 |
---|---|
骨折・打撲 9万円 | 骨折・打撲 通院給付金 5万円 |
骨折・打撲 3万円 | |
家族の医療費 2万円 |
この場合は、骨折・打撲が対象の医療費で、入院か通院かは関係ありません。
「入院費9万円+通院費3万円=12万円」から、給付金の「5万円」を差し引きます。
家族の医療費を合わせても「9万円」となり、「10万円」を超えないので、医療費控除を申告できる金額に満たないということになります。
[quads id=2]
保険金請求中の場合は?
保険金や給付金を請求中で、まだ金額が確定していないけれど、確定申告をして医療費控除を受けたい…。
このような場合、医療費控除を申告することはできるでしょうか?
請求中の保険金や給付金の金額を、「見込み額」で医療費控除を申告することが出来ます。
例えば健康保険の出産育児一金であれば、「42万円」と金額が決まっています。
生命保険や損害保険の保険金・給付金なども、「入院1日あたり」「○△手術1回あたり」というように金額が決まっています。
この金額を「見込み」の金額で、かかった医療費から差し引いて申告をすることが可能です。
後日、保険金が支払われて、金額が違った場合は、正しい金額で医療費控除の申告をし直します。
受け取る金額が確実にわかっている場合は、「見込み」で医療費控除の申告をしてもよいと思います。
ただし、受け取る金額に不明なところがある場合、どうしても申告を急がなければいけない理由が無いのであれば、金額が確定してから申告するほうが良いと思います。
それは…
- 保険金の金額が「見込み」と違っていた場合に、確定した金額で申告し直さなければならず手間である。
- 請求の内容や、手続きの書類に間違いが無ければ、保険金等が支払われるまでに、それほど長い時間はかからない。
- 医療費控除の申告は、「翌年の1月1日から5年間」申告の期間があるので、保険金が支払いになるのを待っても十分に間に合う。
からです。
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保険金を申告しなかったら?
病院や調剤薬局でもらった領収書の整理を手伝いながら、一通り、医療費控除の流れを説明したところで…
姉の質問が…!
「ねえ、給付金って、申告する必要あるの?」
「税務署は、わからないでしょ?」
なんということを!
実は、保険会社が保険金や給付金を支払った場合、税務署に「支払調書」という支払いの明細を発行することになっています。
現在「支払い調書」は、100万円以上の支払いがあったときに、発行されることになっています。
ですので、姉の場合は「5万円」の給付金の支払いなので、税務署へ支払い調書の提出はされません。
ただし!
税務署では申告の内容をチェックしていて、確認が必要な場合には、本人だけでなく保険会社などに問い合わせることがあります。
私は、昔、保険会社に勤めていましたが、よく税務署から書面での問い合わせがありました。
「契約に加入しているかどうか?」
「保険金の支払いがなかったか?」
「いくら支払いがあったか?」
などの問い合わせに対して、保険会社からきちんと回答しなければならないのです。
もしも、医療費控除の申告のときに、保険金として受けとった分の金額を申告しなかったとしても、そのまま受け付けられるでしょう。
でも、税務署から保険会社に問い合わせが入れば、支払いがあったことや支払い金額が一発で明らかになります。
また、平成28年1月からマイナンバー制度が始まり、保険金などの支払いが100万円以上の場合の支払い調書は、マイナンバーが記載されることになりました。
自分では「このくらいの金額なら…」「バレやしない」と思っていても、知らないところで把握されているかもしれません。
「虚偽の申告」と判断されて、追加徴収の対象になる、などということにもなりかねないので、受け取った保険金などは正しく申告するようにしましょう。
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追記 平成29年分からの医療費控除の申告は?
平成29年分の確定申告から、医療費控除を申告するときの提出書類の取り扱いがかわりました。
医療費控除を申告する分の医療費は「医療費控除の明細書」に医療を受けた人の名前、支払先(病院名・薬局名)、支払い金額などを記入して申告書と一緒に提出、医療費の領収書は提出が不要になりました(領収書は自宅で「5年間」保存)。
生命保険や損害保険、共済などから入院や手術、通院などの保険金、給付金をもらっている場合には、この「医療費控除の明細書」の「2」の明細欄の該当する医療費のところににその金額を記入します。
「医療費控除の明細書」の下の方にある計算欄で、医療費と差し引きして医療費控除の金額を計算、確定申告書の医療控除の金額欄に転記します。
医療費控除の明細書の代わりに、健康保険組合などが発行する「医療費のお知らせ」を提出することもできるようになりましたが、保険金、給付金などをもらっているときは「医療費控除の明細書」の「1」の欄に記入します。
「医療費控除の明細書」の下にある計算欄で医療費と差し引きして記入、申告書に転記します。
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