「住民税が、天引きされていないんですよ…」
「聞いていたよりも、手取りが多いから、おかしいとは、思ったんですよね…。」
先月、中途入社で入ってきた、後輩の話です。
給料日に、ATMで、お金をおろそうとしたら、振り込まれている額が、入社の時に聞いていたよりも、少し多かったそうです。
ちょっと嬉しくなり、使い道を考えつつ、家に帰って、念のために給料明細を見てみたら…金額が多いと思っていたのは、住民税が天引きされていないからだ、とわかって、私のところに聞きに来たのです。
転職などで、中途入社した場合に、給料から、住民税が天引きされていないことが、あるのは、なぜか?そんなときに、どうしたらよいのか?などについて、答えることにしました。
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なぜ天引きされていない?
転職して、新しい会社でもらった給料明細を、見てみたら…、所得税は引かれているのに、住民税が引かれていない!どうなっているのでしょうか?
それは…
- 退職前の最後の給料から、一括で天引き されている
もしくは…
- 住民税を自分で納める「普通徴収」に、切り替わる
この、どちらかです。
これは、それぞれの税金の計算のもとになる期間や、納め方の違いなどに、関係があります。
所得税は、毎月、支払われる給料の金額をもとに、「給与所得の源泉徴収税額表」で決められている額の税金を、給料から天引き(特別徴収)します。転職して、勤める会社が変わっても、この仕組みは全く一緒なので、所得税は、変わらずに毎月の給料から、天引きされます。
住民税は、前の年の所得をもとに、市町村役場で税金の金額を計算して、年に一回、5月頃に、それぞれの会社あてに、個人ごとの金額を通知します。会社では、役所から送られてきた、個人ごとの住民税の金額(住民税決定通知)を、6月からの一年間のサイクルで、毎月の給料から控除(天 引き)します。
ところが、6月以降に転職した場合、転職先の会社には、その年の住民税の金額について、通知は行かないので…
- 退職時に、12回のうちの残りの分を、最後の給料から、一括で天引きする
または、
- 自分で、振り込みなどで納める「普通徴収」に切り替わる
ということになるのです。
一括?普通徴収?どちらになっている?
「転職をしてから、給料明細をよく確認してみたら、住民税が天引きされていない!」退職するときに、給料から一括で引かれている か、普通徴収に切り替わっているか、どちらになっているのでしょう?
給料明細で、「諸控除」の住民税の欄を見れば、住民税が引かれているかどうか、何か月分かが、まとめて引かれているかどうかも、わかるのですが…
意外と、
「普段、住民税の金額をじっくり見たことがないから、もともといくら引かれているか、わか らない。」
「給料明細をもらった気もするけど、いらないと思って、捨ててしまった。」
という人も多いのではないでしょうか。
実は、退職したときの住民税は、一括で天引きをするか、普通徴収に切り替わるかは、退職した月によって、扱いが決まっています。
退職日と住民税の取扱い | |
---|---|
退職日 | 住民税 |
1/1~4/30 | 一括で天引き |
5/1~5/31 | 5月分を天引き |
6/1~12/31 |
一括で天引き |
住民税は、6月から5月までの12回で、天引きされるので、1月から4月までの退職の場合は、5月までの住民税を、一括で天引きします。5月の退職は、5月が最終の月なので、5月のひと月分だけを、天引きします。
6月から12月までの退職の場合は、翌年の5月までの分を一括で天引きするか、自分で納める「普通徴収」にするかを、本人に聞いて、処理することになっています。
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転職のとき住民税はどうする?
転職して、新しい会社で給料をもらって、明細を見てみたら、住民税が引かれていない…
その場合には、どうすればいいのでしょうか?
1月から5月までの間に退職した場合、5月までの住民税は、退職する最後の給料から、天引き されて、納められています。
6月からの住民税は、市町村の役所から、「普通徴収」の納付書が、送られてくるので…
- 納付書の金額を、振り込みなどで納める
または、
- 転職先の会社に、納付書を提出して、給与 天引きにしてもらうように依頼する
のどちらかになります。
6月以降の退職の場合は、一括で天引きするか、普通徴収にするかを、会社から聞かれるので、 同じように、納付書で納めるか、転職先の会社に頼んで、天引き(特別徴収)にしてもらいます。
次の年の住民税は、転職した会社で、その年の 年末調整を受ければ、役所の方に通知が行って、住民税が計算されます。 次の年の住民税の金額は、「住民税決定通知」が転職先の会社あてに送られて、6月から給与天引きが始まるので、特に自分で手続きなどは要りません。
天引きと普通徴収で損とか得はある?
「会社を退職した後、役所から、住民税の納付書 が送られてきた…」このまま納付書で納めるのと、転職した会社に持っていって、給与天引きにしてもらうのと、 どちらが得とか、違いはあるのでしょうか?
答えは…トータルで納める金額、どちらが得か 損か、といった違いはありません。
違いがあるのは、一年間の住民税を納める回数の違いだけです。トータルで納める金額は変わらないので、納める回数が多ければ、1回当たりの金額は少なく、 回数が少なければ、1回当たりの金額が大きく なります。
普通徴収は、どこの市町村も同じで、年4回に分けて、住民税を納めます。
普通徴収の納期限 | |
1期 | 6月末日 |
2期 | 8月末日 |
3期 | 10月末日 |
4期 | 翌年1月末日 |
納付方法は
- 金融機関や役所の窓口で納める
- コンビニエンスストアで納める
- 口座引き落とし
- スマホや携帯で支払うモバイルレジ
などの方法があります。
例えば、8月に退職して、普通徴収を選んだ場合には、翌年の5月までの住民税の残りを、10月末までと、翌年1月末までの2回で、納めます。
転職先の会社で、通徴収の納付書を提出して、給与天引きにしてもらう場合は、納付書に出ている金額を、翌年の5月までの給与の回数で割った金額で、天引きになります。
納め忘れには気をつけよう!
転職先の会社で、給与明細を確認してみたら、住民税が天引きされていなかった…。普通徴収に、切り替わっていると思うけれど、役所から「納付書」が送られてこない…。
こんな場合には、以前の会社に問い合わせてみるか、連絡しにくければ、市町村の役所に問い合わせてみましょう。
会社では、従業員が退職したとき、翌月の10日までに「給与支払に係る給与所得異動届」という書類を、役所に提出します。役所では、「異動届」が提出されると、普通徴収が必要な場合に、「住民税の納付書」を作成します。
退職後に、なかなか「住民税の納付書」が送られてこない場合、以前の会社から、この「異動届」の提出が遅れていることが考えられます。
また、普通徴収でも、給与天引き(特別徴収)でも、トータルで納める金額に違いはありませんが、どちらかといえば、新しい会社で、給与天引き(特別徴収)にしてもらうことを、お勧めします。
それは…
給与天引きの方が、住民税の「納め忘れ」が無いからです。
普通徴収は、窓口やコンビニエンスストアなどで納めたり、モバイルレジなど、「自分で」納めないといけません。
しかも、納付書で決められている納期限に遅れると、基本は、「延滞税」がかかることになります。
※納期限に遅れている金額が、2,000円未満の場合や、かかる延滞税の金額が、1,000円未満の場合は、「切り捨て」になり、延滞税はかかりません。
普通徴収で、住民税を納めようと思う場合には、
納め忘れがないように、口座引き落としの手続きをすることをおすすめします。
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最近転職した者です。
丁寧な記載でとても勉強になり、大変助かりました(他サイトも色々と回ったのですが、知りたい情報が平易な言葉で網羅されていて一番分かりやすかったです!)。
ありがとうございます!
Funitel様
当サイトを訪問いただき、コメントを下さいまして
ありがとうございます。
私自身、転職経験がありまして住民税のことで
疑問をもったことを思い出し記事にしてみました。
多少なりともお役に立ち、そのようにおっしゃっていただいて
嬉しい限りです。
今後も詳しく、わかりやすくをこころがけて参りたいと思います。
ありがとうございました。