入社2年目!なぜ税金で引かれる分が増えて手取りが減るの?

 

「なんか…給料の手取りが減るかも…」

「やだなぁ…」

 

去年、就職した、うちの娘が、入社2年目は、税金で引かれる分が増えて、手取りが減るらしいと、会社で聞いてきて、不満げに話を切り出しました。初任給をもらってきた時に、「入社2年目は、手取りが減るかもしれないよ」と教えてあったはずなのですが、すっかり忘れていたようです。

 

そこで、なぜ入社2年目は、手取りが減ることが多いのか、そうなる仕組みや、どのくらい違うものなのかなど、あらためて説明することに しました。

 

入社2年目は1年目より手取りが減る?

 

なんとなく普通に考えれば、新入社員として勤め始めた年よりも、2年目の方が、給料の手取りが増えるように思えます。ところが、「入社2年目の方が、手取りが減った~」という話をきくことが多いのは、なぜでしょう?

 

それは…

 

「諸控除」として、給料から天引きされている、税金に関係があります。入社した年に、給料から天引きされているものというと、所得税、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、などです。その他には、会社によって違いはありますが、労働組合の組合費、財形貯蓄、確定拠出年金などがあります。

 

 

入社2年目になると、6月に支給される給料から、「住民税」が、天引きされるようになります。「入社2年目に手取りが減る」と言われる、一番大きな原因は、この「住民税」の天引きが始まることです。2年目に、定期昇給やベースアップがあって、給料が増えても、天引きされる「住民税」の金額の方が大きいと、その分、手取りが減ってしまうのです。

 

なぜ住民税は2年目から引かれる?

 

厚生年金や健康保険の保険料、所得税などは、入社した年の給料から、天引きされているのに、なぜ住民税だけ、2年目から、引かれるのでしょう?

 

厚生年金や健康保険、雇用保険などの、社会保険料は、翌月の給料から控除されます。所得税は、支払われる月の給料の金額をもとに、税金が計算されて、控除されます。ところが住民税は、前の年(1月1日~12月31日)の所得をもとに、税金を計算して、6月から一年間、12回で控除をするようになっているからです。

 

 

前年の所得は…

  • 入社した年の4月の初任給から、12月まで給料
  • 1年目の夏・冬のボーナス
  • 人によっては、入社前の1月~3月までのアルバイトの給料

など、12月の年末調整の対象になった収入から

 

  • 基礎控除、給与所得控除などの所得控除

を差し引いた金額です。

 

年末調整を受けると、会社から、自分が住んでいる市町村に、金額が報告されます。役所では、この金額をもとに住民税を計算して、毎年5月頃までに、個人ごとの金額を会社あてに知らせてきます(住民税決定通知)。この「住民税決定通知」が届くと、会社では、「通知」に出ている金額を、それぞれの人の毎月の給料から天引きをします。このタイミングが、毎年、6月の給料からなのです。

 

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どのくらい引かれるの?

 

では入社2年目から、どのくらいの金額が、民税として、引かれるようになるのでしょう?おおよその目安ですが、住民税の金額を計算してみます。

 

  • 給与 月20万円
  • ボーナス 夏と冬合計で30万円(初年度)

とします。

 

年間の収入は…『月20万円×9か月(4月~12月)+賞与30万円』ですので、『210万円』になります。

※会社の給与・賞与以外に、収入はないものとします

 

次に、税金を計算するうえで、収入から差し引「所得控除」を計算します。

  • 住民税の基礎控除 33万円
  • 給与所得控除 収入×30%+18万円
    (収入180万円~360万円の場合)
  • 社会保険料控除 約14.2%
    (厚生年金・健康保険・雇用保険)

 

この場合の金額は、

  • 基礎控除「33万円」
  • 給与所得控除「81万円」
  • 社会保険料控除「約29.8万円」で

合計、約「143万8千円」です。

※生命保険料控除、医療費控除などはない場合で計算。

 

 

収入「210万円」-所得控除「143万8千円」で、所得の金額は、『66万2千円』となります。住民税は、「市民税6%、県民税4%」であわせて、所得の『10%』です。

 

この場合の住民税は…

66万2千円×10%=66,200円(年間)

これを、6月から翌年の5月までの12回で、天引きしますので、毎月の住民税は、66,200÷12=5,500円です。

 

新入社員で「給与20万円、年間賞与30万円」の場合、入社2年目の6月の給料から天引きになる住民税は、月々約『5,500円』ということになります。

※実際の計算では、通勤交通費なども関係してくるので、あくまでもおよその金額です。

 

もしも、定期昇給やベースアップがなければ、月に約5千円、手取りが減るということになります。定期昇給、ベースアップが、この金額を超えれば、手取りは増えますが、超えないと、差し引きした金額の分だけ、手取りが減るということになるのです。

 

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収支を見直してみよう

 

入社2年目で、大きく給料の額が上がるという会社は、あまり多くないでしょう。 先々は、職階が上がって、基本給や諸手当が上がったりするとして、2年~3年目あたりまでは、金額の伸びは期待できないかもしれません。

 

何万円も減るわけではなくても、入社2年目で、月に数千円、手取りが減るというのは、少しキツイですよね。仕事も頑張るけれど、買い物や旅行、趣味も、楽しみたい…ちゃんと、少しずつ貯金もしているのに、手取りが減ったらイヤだ~。

 

では…

対策として…

  • 毎月の収支、とくに支出を見直してみる
  • クレジットカードでの買い物を、あまり増やさない
  • 簡単な家計簿のようなものをつけてみる

などを考えてみましょう。

 

 

今は、スマートフォンのアプリで、レシートを読み取って、支出が管理できたり、支出の内訳をグラフで表示してくれて、過去のデータと比較できるなど、手軽で便利なツールが増えています。そういうツールを使って、収支の管理をしてみましょう。普段、コンビニで「ついで買い」しているものを見直したりすれば、意外と、住民税分の数千円は、穴埋めできたりするかもしれません。

 

また、短期的な対策にはなりにくいかもしれませんが、社内で、仕事に関係する資格取得の奨励金や資格手当などをもらえるように、頑張るのもひとつの手です。無理のない範囲で、節約を心掛けて、一方では、収入をふやせるチャンスがあれば、がんばってチャレンジしていきましょう!

 

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