確定申告で医療費控除を受ける!おむつ代を控除するには?

 

大人用の紙おむつは、医療費控除の対象になるの?

 

どうかな?医薬品ではないけれど、でも介護には必要なものだよね…。

 

家族が老化とともに足腰が弱くなったり、認知症の症状が出たりして、身の回りのサポートのためにいろいろな出費が増えてきた…と実感することはありませんか?

 

たとえば、大人用の紙おむつ

 

買い物のときはあまり意識しなくても、半年なり一年間のトータルで計算してみると、けっこうな金額に…。

 

なので…

 

「大人用の紙おむつ」の代金を医療費控除として申告ができて、少しでも還付金が戻ってくれば有り難いですよね!

 

大人用の紙おむつ、尿とりパッドなどの費用は医療費控除の対象になりますが、おむつを使う人が一定の条件に当てはまっていて、そのことを証明する書類が必要です。

 

この記事では大人用の紙おむつを使っている場合、医療費控除で申告するために必要な条件や書類について見ていきたいと思います。

 

大人用の紙おむつ代は医療費控除の対象?

 

医療費控除は病気やけがなどで医療費が(一定の金額以上)かかった場合に、確定申告をすることで税金の還付が受けられる制度です。

 

医療費控除の対象になるものには…

  • 病院で払った治療費や入院費
  • 薬局で払った薬代
  • 病気やケガなどの症状を治すために買った市販薬の代金
  • 通院や入院の時の交通費(公共の交通機関が対象)
  • 医療系の介護サービスの費用の自己負担分
  • 福祉系の介護サービスの費用の一部

などがありますが、

 

大人用の紙おむつ、尿とりパッドなどの購入代金も対象になります

 

医療費控除の対象になる金額は

MEMO

(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額)-10万円(※)

(※所得が200万円未満の場合は所得の5%)

ということで、

 

年間に支払った医療費のうち、10万円を超えた分が医療費控除として申告できる金額です(最高200万円まで)。

 

年間の所得が200万円未満の人は、所得の5%を超えた分が申告できる金額になります。

 

え?10万円を超えた分なの?そんなに払ってないかも…

 

大人用の紙おむつと尿とりパッドの代金だけで「年間10万円(年間の所得が200万円未満の人は所得の5%)」を超えそうにないという場合でも、病院や薬局などで支払いをした医療費などがないか、もう一度チェックしてみましょう

 

大人用の紙おむつの費用だけでは10万円(年間の所得が200万円未満の人は所得の5%)を超えていなくても、病院や薬局で支払った医療費や薬代などと合わせれば、医療費控除を申告できる金額になるかもしれません。

私の両親は実家で二人で暮らしていますが、母はこの5~6年、認知症の症状が進んできたため、「要介護」の認定を受けてデイサービスに通いお世話になっています。

 

母は介助なしで一人で歩くことが難しかったり、トイレにいきたいことを自分で知らせることができず、大人用の紙おむつが欠かせない状態になりました。

 

私も父も、介護の認定を受けていれば、紙おむつが必要になった場合には医療費控除を受けられるだろう…と、あまりきちんと調べず勝手にそう思い込んでいました。

 

ところが…

 

大人の紙おむつ代を医療費控除で申告するためには、一定の条件と手続きが必要だったのです!

 

紙おむつ代を医療費控除として申告するのに必要な書類をもらう

 

家族が大人用の紙おむつを必要とするようになって、おむつ代を医療費控除で申告するためには、はじめにお医者さんの診断を受けて証明書をもらわなければいけません。

 

次の年からもおむつ代を医療費控除で申告するためには、あらためて書類をもらう必要があります。

 

まず最初はお医者さんの診断と証明書が必要

 

家族が介護を必要とするようになり大人用の紙おむつを使い始めた場合、確定申告で医療費控除を受けるためには、「決められた基準」にあてはまっているかについて、お医者さんに診断をしてもらいます。

 

 

この「決められた基準」というのは…

 

厚生労働省で定めている『寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)』の判定基準というものです。

 

寝たきり度 ランクB

屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが座位を保つ

1.車椅子に移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う

2.介助により車椅子に移乗する

 

寝たきり度 ランクC

1日中ベッドで過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を必要とする

1.自力で寝がえりを打つ

2.自力で寝返りも打たない

(厚生労働省 判定基準より)

 

紙おむつ代を医療費控除として申告するためには、お医者さんから、この判定基準にある『寝たきり』の状態だと診断されることが必要になります。

 

そしてお医者さんから基準にあてはまっているという診断がおりたら、『おむつ使用証明書』という書類を発行してもらいます。

 

 

確定申告でおむつ代を医療費控除として申告するときには、この「おむつ使用証明書」が必要になります。

  • 「おむつ使用証明書」を病院で発行してもらう場合、診断書などと同じで手数料がかかります
  • 金額は病院によってまちまちですが、1,000円~5,000円くらいのところが多いようです。

 

注意
大人用のおむつや尿とりパッドが医療費控除の対象になるのは、「おむつ使用証明書」が発行された日からではなく、おむつ使用証明書に記入されている「必要期間」の間に支払った分になります。

 

2年目以降は「おむつ使用証明書」の代わりの書類で申告が可能

 

引きつづき次の年も「おむつ代」を申告するには、「寝たきりの状態」で「おむつの使用が必要」ということがわからなければいけないので、医療控除の申告するときに「おむつ使用証明書」が必要です。

 

ただし…

 

介護保険で「要介護」の認定を受けている人は、2年目以降に医療費控除を申告する場合、次のような書類を用意すれば「おむつ使用証明書」のかわりに提出することができます。

 

  • 「主治医意見書の写し」
  • 「(介護保険)主治医意見書記載内容確認書」

 

  • どちらの書類も市町村の保険福祉課や介護保険課など担当の窓口で発行してもらうことができます。
  • 発行してもらう場合、手数料などはかからないことが多く、かかってもコピー代(10円とか20円)のみです。

 

病院で「おむつ使用証明書」をあらためて発行してもらう場も、手数料(1,000円~5,000円くらい)がかかるので、要介護の認定を受けている人は「主治医意見書の写し」か「主治医意見書記載内容確認書」をもらった方が負担が少なくてすみます

 

注意
介護保険で「要介護」の認定を受けている場合以外の人は、2年目以降も医療費控除の申告には「おむつ使用証明書」が必要です。

 

医療費控除の申告には「医療費控除の明細書」を記入して提出

 

お医者さんの診断をうけて「おむつ使用証明書」を発行してもらって、その年に使用したおむつ代や尿とりパッドの領収書がそろえたら、いよいよ医療費控除の申告の準備です。

 

申告のときに領収書やおむつ使用証明書の提出は不要

 

平成29年分から、医療費控除を申告するときの領収書の提示、提出がいらなくなりました

 

申告する医療費の領収書やレシートは提示や提出する必要がなく、代わりに「医療費控除の明細書」という書類に金額などを記入して提出します。

 

医療費の領収書やレシートは提示、提出がいらなくなりましたが、申告後5年間は自宅などで保存しておかなければいけません

 

申告後5年間は、申告した内容について税務署から問い合わせが入ることもありますので、その場合には領収書やレシートなどを提示できるようにしておきましょう。

 

「医療費控除明細書」を作成する

 

医療費控除の申告では領収書やレシートの提示、提出はいらなくなりましたが、代わりに「医療費控除の明細書」という書類を記入して申告書と一緒に提出します。

 

「医療費控除の明細書」の記入は…

  • おむつや尿とりパッドの領収書、レシートの金額を店ごと(支払先ごと)に合計します
  • 他にも病院や薬局で支払った医療費があれば支払った病院や薬局ごとに金額を合計します
  • 「医療費控除の明細書」に医療を受けた人の氏名、病院や薬局などの名称(おむつなどの購入先)、支払った医療費の額(おむつやパッドの金額)を記入します

 

 

平成29年分の申告から、「おむつ使用証明書」「主治医意見書の写し」「主治医意見書記載内容確認書」も提出する必要がなくなりました

 

提出は必要ないので「医療費控除の明細書」の欄外などに、

  • 「証明書の日付」
  • 「おむつ使用証明書」「主治医意見書の写し」「主治医意見書記載内容確認書」など書類の名称
  • 発行してもらった病院や役所の名称

 

を記入しておきます。

 

 

「おむつ使用証明書」「主治医意見書の写し」「主治医意見書記載内容確認書」も医療費の領収書と同じように、申告から5年間は自宅などで保存しておかなければいけません

 

平成29年分以後の確定申告書を平成30年1月1日以後に提出する場合、確定申告書に添付又は提示が必要な「おむつ使用証明書」等についても、①証明年月日、②証明の名称及び③証明者の名称(医療機関名等)を医療費控除の明細書の欄外余白などに記載することにより、確定申告書への添付又は提示を省略して差し支えありません。
なお、この場合、添付又は提示を省略した「おむつ使用証明書」等は、医療費の領収書とともに確定申告期限等から5年間保存しなければなりません。

国税庁 質疑応答事例 「寝たきり者のおむつ代」

 

書類や手続きでわかりにくいことは役所や税務署で教えてもらえる

 

医療費控除の申告は、年末調整や所得税の確定申告と違って、誰もが毎年申告するものではないので、初めての場合はとまどってしまうのではないでしょうか?

 

私も自分自身の医療費控除は何度か申告をしていますが、おむつ代の医療費控除については、正直、初めて知ることやわからないこともありました。

 

最初の年は「おむつ使用証明書」のことを知らず、おむつ代を医療費控除として申告することはできませんでした。

 

次の年からは、わからないことについては市役所の担当課や税務署などに問い合わせるようにして、無事に母のおむつ代の申告を終えることができました。

 

 

福祉関係の書類や手続きのことについては役所の福祉課や介護保険課などの窓口でも教えてもらえますし、介護保険を利用している場合であれば担当のケアマネージャーさんに質問してみても良いと思います

 

また、医療費控除の申告のことや書類については、

  • 税務署の電話相談
  • 税務署の窓口

などで質問や相談を受けつけてもらえます。

 

私も利用したことがありますが、わかりやすく親切に教えてもらうことができるのでおすすめします。

 

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